医療技術部門のご案内Departments and Divisions 臨床工学科

はじめに

当院臨床工学科は、医療機器の保守管理を確立させる目的で平成15年4月1日にME室として発足しました。主な業務は生命維持管理装置の操作と医療機器における保守管理業務です。
平成19年12月に医療機器安全管理体制が立ち上がり、平成23年4月には臨床工学科が設立されました。安全な医療の提供を目指し循環器関連、透析関連、消化器内科関連を中心とした臨床業務と輸液ポンプ、人工呼吸器、麻酔器などの医療機器における保守管理業務を現在12名の臨床工学技士で行なっています。

事業内容

現在臨床工学科が携わる主な業務を紹介します。

心臓カテーテル業務

・循環器内科における心臓カテーテル検査時のデータ記録
・血管インターベンション治療時の血管内超音波装置(IVUS)・光干渉断層法装置(OCT)の操作
・IABP(大動脈内バルーンパンピング)、PCPS(経皮的補助循環装置)の操作

不整脈治療(心臓ペースメーカー)業務

・心臓電気生理学的検査(EPS)時のデータ計測とスティムレータの操作
・ペースメーカ植え込み時のデータ計測とアナライザー・プログラマの操作
・ペースメーカ植込み患者さんへの定期チェック(ペースメーカ外来など)、緊急時及び手術時・検査時のペースメーカチェック

補助循環装置の操作・管理

・心原性ショック・低心拍出量時に対する補助循環装置の操作
・主に経皮的心肺補助装置(PCPS)・大動脈内バルーンパンピング装置(IABP)の操作・管理

透析業務

・透析関連装置の日常点検、定期点検をはじめとする保守管理
・透析治療における機器の操作及び患者管理
・重症患者や手術後、心臓カテーテル治療後における集中治療室(HCU)・病棟での出張透析
・血漿交換、持続的血液透析濾過、吸着などの特殊血液浄化療法
・CART(腹水濃縮濾過再静注法)

消化器内科(内視鏡・ラジオ波)業務

・内視鏡検査、治療機器、スコープ洗浄機の保守管理
・内視鏡検査時の患者介助
・ERCPへの関与
・スコープ洗浄
・ラジオ波治療で使用する焼灼装置の操作、保守管理

呼吸療法業務

・集中治療室や病棟における人工呼吸器使用中の朝・夕2回の巡回点検(ラウンド)
・RST(呼吸ケアチーム)の委員として人工呼吸器使用患者の呼吸管理
・睡眠時無呼吸低呼吸症候群(SAS)患者さんへの機器(CPAP)説明、及びSAS外来における治療データの取り出し

人工呼吸器の中央管理

・院内14台の人工呼吸器が安全に使用されるための定期点検を含めた保守管理
・人工呼吸器の不具合に対する点検修理
・人工呼吸器使用中患者のラウンド

シリンジ・輸液ポンプの中央管理

・院内シリンジポンプ66台と輸液ポンプ130台に対する保守管理
・輸液ポンプとシリンジポンプにおける院内定期的点検の実施
・シリンジ・ 輸液ポンプの不具合に対する点検修理
・毎月、輸液ポンプとシリンジポンプに対しての棚卸し業務

モニタリング機器の保守管理

院内のセントラルモニタ・各種ベッドサイドモニタに対する月1回の定期点検と保守管理

除細動器(DC)・自動体外式除細動器(AED)の保守管理

院内の除細動器(DC)・自動体外式除細動器(AED)に対する月1回の定期点検と保守管理

電気手術器の保守管理

手術室、臨床工学科にある電気メス8台の保守管理

麻酔器の保守管理

・手術室における麻酔器6台に対し毎日の始業点検
・麻酔器の不具合に対する点検修理

機器保守管理その他

・体外式ペースメーカの管理
・持続吸引器の管理
・離床センサーの管理
・エアーマットの管理
・超音波ネブライザーの管理

 

  • ペースメーカー外来
    ペースメーカー外来

  • 心臓カテーテル検査
    心臓カテーテル検査

  • 心電図・圧波形の記録
    心カテ時の心電図・圧波形の記録


  • 人工呼吸器の管理

特徴

現代の医療は医療機器なしでは考えられません。しかし、医療機器において多くの施設で医療事故が起こっているのは確かです。便利な医療機器も適正な使用ができない場合や機器自体が正確に作動しない時は凶器にもなるのです。

 

医療機器が正しく作動するように操作・保守管理するのが我々の重要な仕事です。医療機器の中には、人工呼吸器、ペースメーカ、シリンジポンプ、輸液ポンプ、除細動器などがあります。

 

血液浄化業務に関しては、透析センターで月曜日から土曜日までの全日2部体制で外来患者に対しての維持透析を行っています。また、入院患者の透析や血漿交換、持続的血液透析濾過、吸着などの特殊血液浄化療法も行っていて、透析センターまで来ることができない患者さんに関しては、HCUや病棟まで出張で血液浄化ができる体制を整えています。

 

全日自宅待機制をとっていて夜間・休日24時間体制をとっており、緊急患者さんに関して要請があれば、いつでも透析ができるようになっています。

 

循環器内科における心臓の検査データの記録や冠動脈治療のサポートをする心臓カテーテル室業務は、我々の業務の中で最も多く携わる分野です。特に冠動脈治療などにおいては、IVUS(血管内超音波)、OCT(光干渉断層法装置)を使用し冠動脈内からの情報を提供し、急性心筋梗塞で低心拍出量の時はIABP(大動脈内バルーンパンピング)で心臓の補助をさせます。また心肺停止時にはPCPS(補助循環装置)を用いて血液循環を維持し、重篤な不整脈の時は、除細動器、体外式ペースメーカで対処をします。

 

我々の業務は、上記のように治療や緊急時に使用される重要な機器を操作する大切な業務を担っています。このように臨床工学科は医療機器と密接な関係にあり、いつでも安全に機器が使用されるよう保守・管理し、いつでも迅速かつ安全に機器を操作できるよう日々研鑽しています。

 

 


  • 透析装置の点検


  • 低圧持続吸引器の点検

  • 血管内超音波(IVUS)の操作
    透析装置の準備

  • 補助循環装置(IABP)の操作
    補助循環装置(IABP)の操作


  • 補助循環装置(PCPS)の操作

  •  

実績

平成30年度~令和2年度の主な実績

  業 務 H30年度 R1年度 R2年度
心臓外科手術関連 人工心肺操作(ECC) 2例 0例 0例
心筋保護法 2例 0例 0例
脳保護法 1例 0例 0例
自己血回収術 2例 0例 0例
レーザー治療 0例 0例 0例
心臓カテーテル関連 PCI 283例 203例 192例
電気生理学的検査 11例 17例 8例
ペースメーカ移植術 12例 27例 14例
IABP 17例 10例 25例
PCPS 1例 1例 5例
透析関連 透析センター内透析件数 18,343例 18,824例 18,774例
出張透析 445例 282例 260例
特殊血液浄化療法 90日 43日 250日
CART 47例 34例 41例
その他 ペースメーカ外来 48日 48日 48日

 

○人工心肺操作に関しては心臓血管外科病棟開設時から担当していて、総症例数は2019年3月31日までで2,074症例になりました。しかし、現在は2018年12月で心臓外科の常勤が不在となり、心臓外科手術に伴う人工心肺関連業務は行われていません。

 

○ペースメーカに関しては外来だけでなく、病棟においてもペースメーカが植え込まれた患者さんに対してプログラマによる動作チェックを行っています。

 

○臨床工学科では、人工呼吸器、心電図モニタ、輸液ポンプ、大動脈内バルーンパンピングなどの医療機器に関する勉強会や説明会を医師、看護師を対象に行っています。

学会認定

体外循環技術認定士……………1名

日本人工臓器学会・日本胸部外科学会・日本心臓血管外科学会・日本体外循環医学会の4学会合同認定

 

呼吸療法認定士…………………7名

日本胸部外科学会・日本呼吸器科学会・日本麻酔科学科の3学会合同認定

 

透析技術認定士…………………8名

血液浄化専門臨床工学技士……1名

日本腎臓学会・日本泌尿器科学会・日本人工臓器学会・日本移植学会・日本透析医学会の5学会合同認定

 

 

体外循環技術認定士や呼吸療法認定士・透析技術認定士を取得し生命維持管理装置である『人工心肺装置』や『人工呼吸器』・『人工透析装置』をより深く理解し安全に操作及び管理できるよう努力しています。