診療部門のご案内Departments and Divisions 血液内科
当院は急性白血病の基幹で、
群馬県における急性白血病治療では中心的な役割を果たしています。
当院の血液内科では、血液の癌のなかでも急性白血病の診断と治療を中心に行っています。我々が所属する群馬大学の血液グループでは疾患別に基幹病院を決めています。当院は急性白血病の基幹で、群馬県における急性白血病治療では中心的な役割を果たしています。そのため、骨髄腫や悪性リンパ腫などの急性白血病以外の血液の癌患者さんにつきましては、それぞれの疾患の基幹病院に御紹介することがあります。急性白血病の治療については、移植用無菌室を3床、化学療法用の無菌室20床を整備し、化学療法や造血幹細胞移植療法を行っています。化学療法ではJALSG(日本成人白血病治療グループ)に所属しております。造血幹細胞移植療法では日本造血・免疫細胞療法学会の指定施設で、群馬県の非血縁者間造血幹細胞移植の多くを当院で行っています。
移植用無菌室(class 100)


化学療法用無菌室(class 1000設計)


スタッフ
6人体制で入院、外来の診療を行っています。
また、部長は3名と医長1名が日本血液学会の専門医で、そのうち部長2名は指導医でもあります。さらに、部長3名は日本造血・免疫細胞療法学会の造血細胞移植認定医です。
診療体制
外来 : 月~金曜に専門外来を行っています。火曜午後については血液内科医全員で外来診療を行っています。
入院 : 入院患者の診療は、B棟3階の白血病治療センターを中心に行っています。
診療実績
2023年度の血液内科の紹介患者数は342人でした。
外 来:2023年度の初診患者数は829人で、のべ患者数は12011人でした。外来では、のべ1668人患者さんに対して抗癌剤治療を行いました。
入 院:入院患者の診療は、B棟3階の白血病治療センターを中心に行っています。
血液内科の延べ退院患者数は627名でした。上位3疾患は急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、骨髄異形成症候群でした。新規の急性白血病の患者数は81名で、急性骨髄性白血病が68名、急性リンパ性白血病が11名、混合型急性白血病が2名でした。入院患者さんにのべ290レジメンの抗癌剤治療が行われました。
2022年度は23名の患者さんに対して造血幹細胞移植が実施されました。内訳は、血縁者間骨髄移植が2件、血縁者間末梢血移植が2件、骨髄バンクからの骨髄移植が7件、骨髄バンクからの末梢血幹細胞移植が1件、臍帯血移植が9件でした。2022年度末までに、673名の方が造血細胞移植を受けています。
図1. 造血幹細胞移植数の変化


臨床試験
白血病に対する薬物療法は急速な進歩を遂げていますが、まだ数多くの難治性の患者さんがいらっしゃいます。
そこで、当院では、化学療法や造血幹細胞移植等の標準的な治療では治癒が困難な患者さんに対して積極的に新薬の治療を実施しています。令和2年度は、第Ⅰ/Ⅱ相試験に1名、Ⅱ相試験に4名、Ⅲ相試験に2名の患者さんが未承認の新薬の治療に参加していただきました。
群馬県においても最新の治療薬での治療が可能になりつつあります。
教育および研究
血液内科では月曜日、水曜日、金曜日の朝8:30から入院中の血液内科の患者さん全ての方の症例検討会を実施しています。
火曜日の午後には血液専門外来を行っており、その日受診した全ての患者さんについて標本をみながら症例検討を行っています。
金曜日の午後には医師、薬剤師、理学療法士、栄養士、皮膚排泄ケア認定看護師、がん看護専門看護師が集まり移植検討会を行っています。多職種横断的なカンファレンスで移植チームとしてのレベルアップに役立っています。医師の教育については、火曜日の朝8:30から白血病に関する一流紙の論文の抄読会を行っています。進歩の著しい分子標的治療薬の効果や副作用を理解するためには、生体の分子生物学的生理や発癌のメカニズムを理解することが必要です。そのため、木曜日の朝8:30からは分子生物学に関する著書の抄読会を実施しています。
当院は日本血液学会の研修施設に認定されています。当院での診療は学会の研修として認められ、専門医資格を取得しキャリアーアップをすることが出来ます。院外の活動としては、日本血液学会、臨床血液学会、造血幹細胞移植学会に参加、発表を行っています。
今後も総力を挙げて、多くの患者さんに最善の治療を実施できるように努力を続けて参ります。宜しくお願い致します。