当院の特色Features of our hospital 手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率

手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率

手術部位感染(SSI)を発症すると、入院期間の延長や入院医療費の増大など、患者さんにとってのデメリットは大きく、その予防の重要性は明らかであります。
SSIを予防する対策の一つとして、手術開始前の抗菌薬予防的投与があり、手術開始から終了後まで、血中または組織中の抗菌薬濃度を適切に保つことで、SSIを予防できる可能性が高くなります。SSI対策に率先して取り組むことで、安心して手術が受けられる環境をより強化しています。

当院では、手術全例において開始前1時間以内に抗菌薬の投与を行っていますが、前日から予防投与をしている手術もあります。抗菌薬の初回投与が手術開始前1時間以内であったものは以下の通りとなります。

【手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率】-日本病院会の定義に準ずる-

分子:手術開始前1時間以内に予防的抗菌薬が投与開始された退院患者数
   ・手術開始時刻は皮膚切開時刻とする。
分母:入院手術を受けた退院患者数

計算手順

手順①
同一入院期間中に複数回の手術が行われている患者を分母より除外する
手順②
手術申込しみが手術開始24時間以内に行われた患者を分母より除外する
手順③
帝王切開手術の患者を除外する
手順④
外来手術患者を除外する
手順⑤
術前に感染が明記されている患者を除外する(注1)
手順⑥

手術日-2日に抗菌薬が投与されている患者を分母より除外する(注2)

(手術2日前の投与は感染と考える)

手順⑦

手術日+7日に抗菌薬が投与されている患者を分母より除外する(注2)

(手術7日後の投与は感染と考える)

手順⑧

手術日-1日~手術日+6日に抗菌薬が投与されていない患者を分母より除外する(注2)

(清潔手術を除外する)

手順⑨

手術日-1日~手術日+2日に抗菌薬が投与されていない患者を分母より除外する(注2)

(術後3日目からの投与を除外する)

手順⑩

以下の3条件をすべて満たす抗菌薬を識別する(注3)

(大腸手術の経口抗菌薬計算処理を追加する)条件1 手術が別表①の手術
条件2 抗菌薬がフラジールまたはカナマイシン
条件3 抗菌薬投与開始日が手術日-1日

手順⑪

手順⑩の条件をすべて満たす抗菌薬を除いた抗菌薬のうち、手術ごとに最も古い投与日時を計算する(注3)

(投与された抗菌薬のなかの最も古い投与開始日時を求める)

手順⑫
手術開始日時、抗菌薬投与開始日時が60分未満を分子とする
 注1
手術ごとに手術創分類(清潔、準清潔、汚染、不潔・感染)の区別が可能であれば清潔、準清潔を分母とし、手順③、手順④、手順⑦、手順⑧、手順⑨、手順⑩、手順⑪、手順⑫のみ計算する
 注2
1手術あたり複数の抗菌薬が投与されている場合には「別紙:複数の抗菌薬投与の取扱い」を参照のこと
 注3
「別紙:手順⑩⑪の計算例」を参照のこと

グラフ