診療部門のご案内Departments and Divisions ヘルニア外科
当科では、鼠径(そけい)ヘルニアや腹壁瘢痕(ふくへきはんこん)ヘルニアなど、成人の体壁ヘルニアに対して腹腔鏡下手術を中心に治療を行っています。整容性に優れ、痛みが少なく、早期退院が可能な治療法として高い評価を得ています。
目次
- 1. 鼠径ヘルニアとは
─ 脱腸の症状や放置のリスク、嵌頓による緊急性について解説します。 - 2. 治療方針について
─ 症状の有無にかかわらず、手術が必要な理由と、当院での治療方針をご紹介します。 - 3. 腹腔鏡下ヘルニア手術(TAPP)について
─ 小さな傷・早期回復が特徴の腹腔鏡手術の術式と特長を詳しく説明します。 - 4. 整容性と早期回復
─ 傷跡が目立たず、手術翌日に食事・歩行が可能な術後経過についてご紹介します。 - 5. 腹壁瘢痕ヘルニア・その他のヘルニア
─ 再発例や開腹術後のヘルニアにも対応した治療法と実績をご紹介します。 - 6. 手術件数について
─ 年間100例前後の実績と、高齢者・両側・再発例にも対応する体制を紹介します。 - 7. 安全性と患者満足度
─ 合併症が少なく再発率も低い、安全性と高い満足度に支えられた診療体制をご説明します。
1. 鼠径ヘルニアとは
「脱腸」とも呼ばれる病気で、お腹の中の臓器(腸など)が鼠径部の筋膜のすき間から皮膚の下に飛び出してくる病態です。
主な症状:
・鼠径部のふくらみ(立っているときに出て、寝ると戻る)
・圧迫感・違和感・軽い痛み
・腸が締め付けられると、激しい痛みや腸閉塞の危険(嵌頓)
自然に治ることはなく、根治には手術が必要です。
2. 治療方針について
症状が軽くても、嵌頓(かんとん)などのリスクを避けるため手術が推奨されます。
当院では原則として腹腔鏡下手術を行っており、再発例や両側ヘルニア、高齢者にも対応しています。
3. 腹腔鏡下ヘルニア手術(TAPP)について
当院では腹腔鏡下にメッシュを用いた修復術を行っています。
術式:
・TAPP法(経腹腔的腹膜前修復法):腹腔内を観察しながらの手術が可能で、再発や難治例にも有用
・3つの小さな傷で済み、翌日からの食事・歩行が可能です。
4. 整容性と早期回復
当院の術式では、1か所は臍の中、他の2か所も5mm程度の傷で済みます。術後の痛みが少なく、ほとんどの患者さんが術後1〜2日で退院されています。
また、両側同時手術でも傷の数が変わらず、美容面にも優れています。
5. 腹壁瘢痕ヘルニア・その他のヘルニア
過去の開腹手術の傷跡などから発生する腹壁瘢痕ヘルニアにも対応しています。
大きさ・場所に応じて、腹腔鏡とメッシュを用いた補強術を行い、再発を予防します。
6. 手術件数について
当院では、年間100例前後のヘルニア手術を行っており、その大多数が腹腔鏡下で実施されています。両側例・再発例・高齢者にも積極的に対応しています。
7. 安全性と患者満足度
腹腔鏡手術の豊富な経験と設備により、合併症の少ない、安全で確実な手術を提供しています。
手術後の回復が早く、再発率も極めて低く、患者さんからも高い満足度を得ています。