診療部門のご案内Departments and Divisions ラジオ波焼灼療法とマイクロ波擬固術
1.肝臓癌に対するラジオ波焼灼療法(radiofrequency ablation; RFA)とマイクロ波擬固術(microwave ablation;MWA)
●RFAは、エコー画像を見ながら電極を病巣に挿入し、ラジオ波と呼ばれる460kHzの電流を通電することで加熱し、癌を凝固壊死に陥らせる治療法です。早期肝癌の標準治療の一つであり、標的病変を焼灼できた場合は外科的肝切除と同等の治療効果が得られます。
●2017年7月より、従来のマイクロ波凝固術と比較して焼灼範囲などが大幅に改善された次世代マイクロ波凝固術(MWA)が保険収載されました。RFAと比較して、少ない穿刺回数、短い焼灼時間で広範囲の治療が行えます。
●開腹手術や腹腔鏡手術に比べて低侵襲です。当院では1週間前後の入院期間で治療可能です。
●当院では原則として静脈麻酔により患者さんが眠った状態で治療を行い、痛みを感じないでRFA/MWAを実施します。
2.当院のRFAとMWAの治療件数の推移
年次 | 肝細胞癌 | 転移性肝癌 | 合計 |
---|---|---|---|
2012年 | 80 | 3 | 83 |
2013年 | 80 | 5 | 85 |
2014年 | 118 | 1 | 119 |
2015年 | 101 | 9 | 110 |
2016年 | 73 | 2 | 75 |
2017年 | 64 | 12 | 76 |
2018年 | 96 | 18 | 114 |
2019年 | 109 | 22 | 131 |
2020年 | 112 | 10 | 122 |
2021年 | 119 | 9 | 128 |
合計 | 952 | 91 | 1043 |
※2017年以降はマイクロ波凝固療法を含む
3.当院における肝細胞癌に対するRFAとMWAの適応
1)肝切除不能または外科切除を希望しない。
2)腫瘍の大きさが3cm以内、腫瘍の個数が3個以下。ただし、RFA/MWAが有効と考えられる場合は3cm以上、3個以上でも治療する場合がある。
3)コントロール不能の腹水がない。
4)門脈腫瘍栓や肝外転移がない。
5)血小板数5万/㎣以上かつPT活性50%以上。条件に満たない場合は、事前に内服薬治療や輸血を行う場合がある。
6)全身状態が良好。
4. 当院における転移性肝癌に対するRFAとMWAの適応
1)肝切除不能または外科切除を希望しない。
2)病変が肝臓に限局している、もしくは遠隔転移があっても化学療法などで制御されている。
3)予後の延長が期待できるのであれば、肝臓内の腫瘍の大きさおよび個数で限定しない(3cm以上、3個以上でも治療を行う)。
4)コントロール不能の腹水がない。
5)門脈腫瘍栓や肝外転移がない。
6)血小板数5万/㎣以上かつPT活性50%以上。条件に満たない場合は、事前に内服薬治療や輸血を行う場合がある。
7)全身状態が良好。
5.済生会前橋病院RFA/MWA専用室
●当院C棟5階のRFA/MWA治療専用室
●焼灼療法専用ベッドにより肝臓の背中側も含め、様々な方向から穿刺可能です。
●Multimodality fusion imagingや造影エコーを用いることにより、超音波で病変が不明瞭でも、治療が可能となります。
また、人工胸水/腹水を使用することにより、他臓器に接している病変も治療可能になります。