診療部門のご案内Departments and Divisions 胃外科
当科では、胃がんやGIST(消化管間質腫瘍)に対する専門的な診断と治療を行っています。
進行度に応じて、内視鏡治療・腹腔鏡手術・ロボット支援手術・化学療法などを組み合わせた集学的治療を提供しています。
- 1. 胃がんとGISTについて
─ 胃がんと消化管間質腫瘍(GIST)の違いや特徴、症状、診断方法について解説します。 - 2. 治療方針について
─ 進行度に応じた内視鏡治療・外科手術・化学療法の選択とその組み合わせをご紹介します。 - 3. 胃がん・GISTに対する手術について
─ 胃切除の種類(幽門側・噴門側・全摘)、郭清範囲、GISTに対する切除術の考え方について説明します。 - 4. 腹腔鏡下手術について
─ 当院での標準的腹腔鏡下胃切除術、整容性・回復面での利点、導入実績について紹介します。 - 5. ロボット支援手術について
─ ロボット支援下胃がん手術の適応、操作性、安全性、精密な郭清の実際について解説します。 - 6. 化学療法を併用した治療について
─ 進行胃がんや術後補助療法としての抗がん剤治療、分子標的薬を含む併用療法についてご紹介します。 - 7. 術後の経過・フォローアップについて
─ 術後の食事開始から退院後までの経過、長期フォローアップ体制、注意点についてまとめています。 - 8. 手術件数について
─ 当科における胃がん・GIST手術の年間件数と腹腔鏡・ロボット手術の導入状況について紹介します。
1. 胃がんとGISTについて menu
胃がんは胃の粘膜から発生する悪性腫瘍で、日本では依然として罹患数の多いがんの1つです。胃カメラ(内視鏡)検査の普及により、早期発見が可能になっています。主なリスク因子にはピロリ菌感染、塩分過多、喫煙などが挙げられます。
一方、GIST(消化管間質腫瘍)は胃の筋層付近にあるカハール介在細胞から発生する腫瘍で、悪性度はさまざまです。小さいうちは無症状のことが多いですが、出血や腹部膨満感、貧血で発見されることもあります。
2. 治療方針について menu
病気の進行度(ステージ)や全身状態、腫瘍の性質に応じて最適な治療を選択します。早期胃がんには内視鏡的切除(ESD)、進行がんやGISTには腹腔鏡や開腹による手術を基本とし、必要に応じて化学療法を併用します。患者さんごとの状況をふまえて、医師間でカンファレンスを行い、最適な治療方針を提案しています。
3. 胃がん・GISTに対する手術について menu
胃がんに対しては、がんの位置と進行度により、幽門側胃切除、噴門側胃切除、胃全摘を行います。また、必要に応じてリンパ節郭清も併せて行います。
GISTの場合は、がんのような広範なリンパ節郭清は不要なことが多く、腫瘍の部位と大きさに応じた部分切除(くり抜き切除)を行うのが一般的です。腫瘍を破らず安全に切除することが重要です。
4. 腹腔鏡下手術について menu
当院では、胃がん・GISTに対して積極的に腹腔鏡下手術を導入しています。5〜10mm程度の小さな切開から手術を行うことで、術後の痛みが少なく、整容性にも優れています。入院期間の短縮、早期の社会復帰が可能です。
1997年に群馬県で初めて腹腔鏡下胃手術を導入して以降、多くの症例を安全に行ってきました。
5. ロボット支援手術について menu
より高精度な操作が求められる胃がん手術において、当院ではロボット支援手術(da Vinci)を導入しています。細かく安定した操作が可能となり、特に神経温存や精密なリンパ節郭清において有用です。適応となる方にはロボット支援手術を積極的にご提案しています。
6. 化学療法を併用した治療について menu
進行胃がんに対しては、手術と化学療法を組み合わせることで治療効果が高まることが知られています。術前に化学療法を行うことで腫瘍を縮小させたり、術後に再発を防ぐ目的で補助療法を行います。
GISTに対しては、手術後に再発リスクが高いと判断された場合、イマチニブ(グリベック)という分子標的薬を用いた補助療法を行うことがあります。
7. 術後の経過・フォローアップについて menu
術後は、術式に応じた栄養管理・食事指導を行い、段階的に通常の生活に戻れるようサポートします。退院後も定期的に外来で経過観察を行い、再発の有無、栄養状態、QOL(生活の質)を長期的に見守ります。
8. 手術件数について
当院では、年間約40〜50例の胃がん手術を行っており、そのうち半数以上が腹腔鏡下またはロボット支援下で実施されています。GISTについても、毎年複数例の手術を行っており、安全で確実な切除に努めています。